「柳生十兵衛三度死す」


 以前、イン殺氏のトコのwikiにのっけてたのを再掲。
尤も、記法がよく分からなかったため、非常に読みづらくなっており、
それを修正したかったというのもあるのですが。


 石川賢が「○○○○」をイシカワ化(石川賢の、石川賢による、石川賢の為のコミカライズの意)したら、
こんな風になろうな、 というシロモノを書いていく、ということで。


 で、石川賢が「十兵衛両断」をイシカワ化したら、
きっとこんな題になるだろうなあ、と確信すること然り。
(厳密には「剣法正宗遡源」とセットで、つートコですが)



・ 嵐吹き荒れる海峡を渡る船一艘。
 乗船しているのは高貴な身なりの老人と仮面の男一人。
 他に乗船しているものは一人もないにも関わらず、
 船は波を割り、突き進む。
 …日本を目指して!


 「ククク…!待っておれ、柳生十兵衛!(グルグル眼)」


・ ところ変わって江戸の柳生屋敷。
 船に乗っていた二人、李氏朝鮮の高官・孫文紣と
 その従者たる仮面の男・柳三厳を前にする宗矩と十兵衛。
 決裂した議論の後、ノッカラノウムの仮面を十兵衛が着けた途端、
 柳三厳と十兵衛の両者がもがき苦しみ、ばったりと倒れる。
 狼狽しつつも、仮面を両断する宗矩。
 そして、むっくりと立ち上がった十兵衛は呵呵大笑する。


 「事は成れり!我こそ柳生十兵衛なり!(グルグル眼)」


・ 響く哄笑に、何事ならんと駆けつけた新陰流剣士を
 片っ端からブッタ斬る十兵衛。


 「ははははは!手だ!足だ!首だッ!」


  そのまま孫文紣を背負って逃走する十兵衛。
 血の海の柳生屋敷で、倒れっぱなしの柳三厳をひっ捕らえる宗矩。
 だがしかし、その口から出た言葉は…。


 「お、親父、どの…?」


・ ここから二つの場面が同時平行に進む。
 哄笑を続けながら街道を爆走する十兵衛。
 そのまま船を漕ぎ(モーターボートの如く進む船)、
 朝鮮に着いた十兵衛は、早速行動を開始する。


 「ククク…疋田新陰流はこの十兵衛が全員斬る!(グルグル眼)」


  その頃、柳生屋敷にて超拷問の憂き目にあう柳三厳。
 その拷問たるや纐纈城の城主も吃驚だ。


 「親父殿ーッ!俺だッ!十兵衛だーッ!」


  流石に怪しんだ宗矩の調べの結果、
 忍法ボディチェンジこと「朝鮮妖術ノッカラノウム」の正体が判明。
 ようやく拷問から解き放たれた柳三厳こと十兵衛。


 「おのれ…おのれ朝鮮妖術師ッ!
  必ずや彼奴をブッた斬ってやる!(グルグル眼)」


・ そしていきなり柳生の里・九鬼谷へ向かう十兵衛。


 「おばば!この体を何とかする方法はないか!?
  こうなったら、この体を以前のものよりも遙かに鍛えあげ、
  彼奴を絶対ブった斬る!(グルグル眼)」
 「ヒッヒッヒ…常人ならば到底耐え切れぬが、
  ひとつだけ手法があるのサ。…サテ、どうするね?」


・ その頃、疋田新陰流剣士を皆殺しにした柳三厳。
 そんな柳三厳を以前と同じように下僕として扱おうとする孫文紣。


  「クックック…貴様如きに御されるこの柳生十兵衛ではないわ!
   死ねィッ!(グルグル眼)」


  剣光一閃。 寸瞬の後、唐竹に割れる孫文紣。


 「フハハハハ、もはや俺は自由だッ!
  妖術ッ!新陰流ッ!この肉体ッ!
  取るに足らぬ愚民どもよ!支配してやるぞッ!
  我が"知"と"力"のもとにひれ伏すがいいぞッ!(グルグル眼)」


・ ところかわって十兵衛。
 おばばの言う「手法」。それは言うまでもなく…


 「それこそは、忍法魔界転生!」


  だがしかし、魔界転生を遂げるには比類なき体力精神力が必須。
 今の十兵衛には、その体力がおぼつかぬ。 それを補うために…。


 「…人の肝より作りしは五臓丸。
  しかし、地獄の鬼の肝より創りしは、この鬼臓丸!
  飲んだ人間に絶烈なる活力を齎すであろう!
  だがしかし、効果過ぎ去りし後は、
  その反作用で死に至るほどの劇薬!
  さあ、どうする十兵衛!?」
 「クックック…決まっておるワ!
  ぐわ!(グルグル眼)」


  ドグシャグシャッ!(鬼臓丸全部一気喰いの音)


  いきなり体中が真っ赤になり、噴き出す瘴気が鬼の姿を取る。
 そのまま奥の間にいる女にかぶりつく十兵衛。


 「ぐおお!待っておれ!柳三厳!!(グルグル眼)」


・ その頃、柳三厳は朝鮮妖術で死人兵を呼び出し、
 たちまちのうちに魔城を創りあげた。
 その名も「神魔獄天城」。
 鎮圧にやってきた朝鮮の兵をたちまちのうちに
 死人兵が取り囲み、そして、新たな死人兵が…!


 「クックック…死人が死人を生み、我が軍は無限に増殖(ふえ)る!
  闘争と死のみが我が前にある!
  そうだ!この世こそ…地獄!!(グルグル眼)」


・ 死の軍団、朝鮮全土を覆いつくし、明国へ。
 明を攻めていた清もろとも、死の軍団が蹂躙する。
 そして、北京を囲む死の軍団の前に、一人の女が現れる。


 「柳生十兵衛…いや、柳三厳!!
  地獄から舞い戻ってきたぞ!貴様をブった斬るためになッ!」
 「貴様…そうかッ!」


  その瞬間、真っ二つに割れる女。
 女の体から光輝が炸裂し、辺りを真白に染める。
 一瞬で消滅する死の軍団の死人たち。


 「この十兵衛に敵うと思うてか!」
 「韓人、推参なり!」


  光輝の晴れた後に見えるは、2人の十兵衛のみ!


・ 超激闘始まる。
 妖術と剣術の粋を尽くした戦いが続き、
 その最中、"世界"の理が語られ、輪廻転生の幻影が映り、
 遙かな時空からの"声"が響き渡る。


 「そうか…!俺と貴様は…この時空でもッ!」
 「柳生十兵衛!今度こそ貴様を殺し、この世に地獄を!」


  遂に眼帯に手をかける柳三厳。
 その奥には、魔界が広がっていた!
 しかし、魔界の力が溢れる際の一瞬の隙をつき、
 十兵衛の剣が柳三厳を両断する!


 「お、おのれぇぇぇッ!じゅ、十兵衛ッッ!!」
 「今度こそくたばれ!柳三厳ッ!!」


  そして、光。


・ 光の晴れた後には何もない荒野が広がるだけであった。
 その頃、江戸の柳生屋敷にて、暗闇の部屋の中に立つ男一人。
 振り向いたその顔には、あのノッカラノウムの仮面が。


 「ああ、その面は!」


 男を見た柳生衆の驚愕。 面を取る男。その奥には!


 「柳生十兵衛三度死す」 完