「岩本虎眼三度死す」


 不明の事情でやる気が削げてるので、
今日も元気にイシカワ化の再掲。
今んトコ、一番ウケてた様子の
「岩本虎眼三度死す」でアリマス。
まったく、虎眼先生は死してなお大人気で砂。


 ところで関係ないのですが、
随分前に書いた(というか読んだ次の日に書いた)
Amazonの「処刑御使」レビューが
まだ出てこないのは何故なんでしょうかのう。
むー。


 「岩本虎眼三度死す」は
全13話で構成されたシリーズである。
全13話で構成された、という事と、
おおまかな話の筋がわかっているだけで、
それが如何なる媒体によって供給されたかは不明である。
一説には古文書に記された伝説である、とも言われているが、
その真偽すら定かではない。


 13話は以下のようなタイトルとなっている。
話の抜粋も付記し、ここに紹介する。



第一話 「岩本虎眼、異世界へ!」


 伊良子清玄との決戦中、曖昧の極みに達した岩本虎眼は、
遂に精神だけではなく、肉体まで異世界へと遊離させる境地に至った。
清玄の逆流れが虎眼の面を割ろうとする瞬間、
虎眼の姿はこの世から一切消えうせていた。
狼狽する清玄。
唖然とするいく。
転がったままの濃尾三天狗with肉塊。
ただ風が吹くのみであった。


 その後、諸般の事情によって、跛足となった伊良子と左腕を喪失った藤木が
シグルうことになったわけだが、それはまた別の物語である。


第二話 「柳生主義(ヤギュウイズム)の世界」


 虎眼が降り立った世界は、柳生の支配する柳生の為の世界であった。
瞠目する虎眼。この世界での虎眼は、通常の10倍の力を発揮するのだ。
そんな虎眼の前に続々と現れる柳生人たち。
唸る剣風。飛び交う奥義。あたり一面血の海だ。


「おのれ柳生!この世界、許しておかぬ!!(グルグル目)」


第三話 「ドキッ!虎眼だらけの御前試合!ポロリもあるよ(首が)」


 なるほど、つまりあなたはこう言いたいのですね?


 「ハハハハハッ!手だッ!足だッ!首だッ!」


 神聖柳生帝国皇帝・宗矩主催の御前試合がある事を知り、
虎眼は正体を隠して参加を決める。
だがしかし、参加者の中に岩本虎眼が既に多数存在している事が発覚。


 「オレは岩本虎眼竜馬!」
 「俺は岩本虎眼隼人!」
 「拙者は岩本虎眼武蔵!」
 「拙僧は岩本虎眼弁慶!」
 「僕は岩本虎眼元気!」
 「私は岩本虎眼ミチル!」


 些かの斬り合いの後、彼らが反柳生組織の人間である事が発覚。
意気投合した虎眼と虎眼ズは、結託して御前試合をブチ壊し、
あと一歩のところまで宗矩を追い詰めるが、
ギリギリのところで逃してしまう。


第四話 「無敵!無双虎眼流!」


 柳生の追撃を逃れ、掛川に逃れる虎眼&虎眼ズ。。
そこで虎眼ズは、虎眼を岩本虎眼研究所へと案内するのであった。
そして、虎眼の前に立つのは、


 「ようこそ!ワシは岩本虎眼博士じゃ!」


 そして、長年研究していた
曖昧・憤怒・正気の三形態を自由に使いこなす虎眼流を
今こそ託す時、と博士は虎眼に言う。
(博士の言によると、今までの虎眼流はプロトタイプ虎眼流だそうな)


 「三つの虎眼をひとつにあわせるんじゃ!」


 研究所の前までやってくる柳生人に操られた柳生獣たち。
今にも押し寄せんとする柳生獣の前に、岩本虎眼は降り立った!
巻き起これ嵐・無双の虎眼流。


第五話 「一本勝負!大雪山流れ星!」


 続々とやってくる柳生獣。
そして遂に今までの流れ星だけでは倒せない敵が現れた。
その名は柳生獣タミヤ。その抜き打ちは流れ星より早い!
苦悩する虎眼。


 「逆に考えるのだ、「倒さずもよい」と考えるのだ…」。
 「倒さんと欲すれば、まず、活かすべし!」


 謎の言葉が脳裏に響き、そのまま曖昧となる虎眼。
目の前の敵すら認識できない境地に達した時、
新たなる奥義、大雪山流れ星が柳生獣タミヤ
真っ二つに切り裂いたのだった。


第六話 「柳生帝国の滅びる日」


 新奥義で勢いを得た虎眼は、そのまま柳生城へ乗り込む。
次々現れる柳生獣を片っ端から切り捨て、遂に宗矩の玉座まで辿りつく虎眼。


 「遂に来たな虎眼!だが、この宗矩、ただでは死なんぞ!」


 柳生帝国最高の柳生獣、無敵柳生マタエモンに乗り込む宗矩。
天地を揺るがす攻防の末、曖昧虎眼決死の一撃で、
遂に宗矩ごとマタエモンを破った虎眼。


 ここに柳生帝国は滅びたのであった…。


第七話 「甦れ虎眼流G」


 柳生帝国は滅びたが、次の瞬間、検校帝国が現れる。
だが、虎眼流を構成する三つの力のうち、
曖昧虎眼が何故か虎眼から失われてしまった。


 これでは虎眼流が打てない。
焦る虎眼。迫り来る検校獣。
あわや虎眼の運命もここまでか、という直前…!


「戻った……ワシの…!!!
 諂いの…
 …笑み…」


 (これは)
 (ワシの処世術だ)


 欠けてはならないもの――
 それが虎眼にとっては弟子には決して見せぬ諂いの笑みだった
 "出世したい"という渇望が可能にした笑みと言っていい
 唐突だが僕(作者)にも欠けてはならないものを喪失った経験が(略)
 その時は7年もの時が(略)
 僕は喪失感から逃れられた日は(略)
 大切なものを持つのは本当にすばらしい事だ
 かけがえのないと言うのはきっとそんなもの(気持ち)だろう


 「今こそ見せるぞ虎眼流!
  うぬら検校の手先ならん!」


 曖昧に代わり、諂いを加え、更なるパワーアップを遂げた虎眼流。
今までの虎眼流の10倍のパワーを持つ、その名は虎眼流G!


 「三つの心を一つに合わせ、くらえ我が奥義!」


 そして、新奥義「シャイン流れ星」で検校獣を斬り捨てる虎眼。


第八話 「日本壊滅!さらば虎眼!」


 次々襲い来る検校獣を、次々と斬り捨て、
検校帝国の本拠地、賎機へ向かう虎眼。
だがしかし、検校帝国の本拠地、検校要塞は空を飛び、
空中から虎眼を狙い撃つのであった。
手も足も出ない虎眼。


 「おのれ、おのれ、おのれッ!
  このワシに空飛ぶ翼さえあれば喃…ッ!」


 歯噛みする虎眼に、博士から連絡が。


 「虎眼!今、そっちに虎眼スクランダーを射出した!
  タイミングを合わせてドッキングするんじゃ!」


 そして、紅の翼を手に入れた虎眼。
そのまま検校要塞へ突貫し、
検校帝国皇帝・ケンギョウをシャイン流れ星で斬殺爆殺滅殺。


 だがしかし、ケンギョウの死と同時に検校要塞の自爆装置が炸裂し、
その爆発は日本全土を覆いつくし、
何もかも吹き飛ばしてしまったのであった。


第九話 「衝撃!神か悪魔か真・虎眼流!」


 検校要塞自爆の影響で、荒野となった日本。
だがしかし、人類は死滅していなかった!
あちらこちらに種籾を手に逃げるミスミ爺さん、追うモヒカン。
もはや小判など尻を拭く役にも立たぬ世界なのである。


 そんな世界で蠢動する黒い影。
それはネオ柳生帝国であった。
その魔の手が、これまた生き残っていた岩本虎眼研究所に
襲い掛かろうとした時、
研究所をブチ抜いて飛び出した黒い影!


 「来たか柳生ども!我が真・虎眼流の礎となれいッ!(グルグル目)」


 虎眼は生きていた!
そして、虎眼流Gの1000倍の威力を持つ真・虎眼流を!


 「トマホゥゥゥクッ流れ星ッッ!!」


 虎眼の復活の狼煙は、ついでに掛川をなぎ払ったそうな。


第十話 「襲来!蘇る柳生たち!」


 蘇った虎眼、そしてネオ柳生。
虎眼は新たなる翼、虎眼ウィングで自力飛行し、
ネオ柳生の本拠地、南海の孤島へと早速突貫する。


 ネオ柳生本拠地、無敵柳生城塞には、
かつて倒した柳生たちが続々と現れる。
そして、虎眼の目の前に現れたのは…!


 「フフフ…久しい喃、岩本虎眼がんがんがん(残響音)」
 「おのれ宗矩!はかってくれた喃!(グルグル目)」


 再生宗矩は蟲と同化し、
その無数の触手による連続無刀取りで襲い掛かる。
遂には刀を折られ、無手となった虎眼。
だが、そこに失われた力、七丁念仏が!


 「先生…心を込めてくだされ…ストナー流れ星です…(牛股)」
 「…(藤木)」


 「ストナァァァァァッ流れ星ィィィッ!!」


 新たなる奥義、ストナー流れ星は
宗矩ごと無敵柳生城塞を吹き飛ばしたという。


第十一話「決戦!スーパー柳生軍団」


 柳生復活の謎を探る虎眼博士。


 「こ、これは…!」


 柳生復活の鍵は、遙か次元の彼方よりやってきた柳生蟲の力であった。
そして、虚空から迫り来る蟲の啼き声。
その中に混じるは、柳生の意思とも言うべき存在の"声"。


 「あきらめろ。柳生は人類を滅ぼし、地球そのものを作り替える」
 「させるか!ワシは戦う!それが虎眼流を操る者の宿命ならば!」


 ドワオ
 ドゴゴ


 「出たな」


 ズオオオ


 「出たな柳生十兵衛!!」


第十二話「閃光!虎眼流の果て!」


 十兵衛と虎眼の戦いは続く。
戦いはいつの間にか宇宙へと移り、
木星と一体化した十兵衛(=柳生マスター)が
衛星二刀流で虎眼を追い詰める。
虎眼もトマホーク流れ星、ストナー流れ星を連発し、
必死に抗うが、彼我の力の差は大きい。
具体的に言えば、


【柳生マスター】
HP:300000 EN:450 HP回復大/EN回復大


【岩本虎眼】
HP: 4800 EN:100


 これくらい違う。
そして、あと一撃を受ければ、死亡確定なその時!
虎眼の周りの空間が裂け、その隙間から無数の虎眼が現れた!


 「やってくれた喃」
 「やってくれた喃」
 「やってくれた喃」
 「やってくれた喃」
 「やってくれた喃」
 「やってくれた喃」
  ・
  ・
  ・


 「こ、これは…!」
 「そうか…虎眼流はその為にあったか喃」
 「…今ならわかる、そう、こんなに簡単なことであったのか喃」


 虎眼、一気に回復。
そして、最終奥義、真・シャイン流れ星で
柳生マスターを膾斬りに斬ったのであった。


第十三話「虎眼がいく」


 その後、その世界からは柳生は消え去った。
しかし、虎眼も帰ってこなかった。


 「だがしかし、奴は生きておる」


 そう、虎眼は生きている!
果てしなく続く柳生との闘争のために!
今も、虎眼流を振るっているのだ!
戦いはこれからだ!


「柳生の世界は、この虎眼が、虎眼が斬る!!(グルグル目)」


 岩本虎眼三度死す 完



Q: 結局、虎眼先生が死んでないわけですが?
A: そんな些細なことを気にするのは健康によくありません。
  健康の為なら死んでもよいという精神、まさにシグルイである。
  シグルイこそが人を「幸福」へと導くのだッ!