「柳生一族の陰謀」を観た


 激しく今更ながら,今まで見ていなかったので,
ようやく観たのです。


柳生一族の陰謀 [DVD]

柳生一族の陰謀 [DVD]


 一言で言えば素晴らしい
何が素晴らしいかって、勿論僕らのアイドル宗矩くんがですよ。


 「それは良い宗矩ですか?(Is it good MUNENORI?)」
 「はい、それは素晴らしい宗矩です(Yes, it is wonderful MUNENORI)」


 とか一人芝居したくなるくらいに。
もう見事なまでの暗黒宗矩なのです。
世には柳生マーチという歌が存在し,
それに曰く,


 十兵衛はとても強い
 石舟斎とても偉い
 宗冬は才能足りない
 友矩はとても美形
 宗矩はとても黒い


 というわけなのですが、
本作において石舟斎は既に亡く、
結果,本作のタイトルにある「柳生一族」の「陰謀」を
宗矩が一挙に引き受けることになり、
その暗黒力(あんこく・ちから)たるや
悪魔のように黒く、地獄のように熱いシロモノなのです。
まさにさいきょう。


 本作が公開された以前より「柳生武芸帖」などにおいて、
既に陰謀家としての宗矩像が提示されていたわけですが、
そのキャラクターイメージが確立されたのは,
おそらく、本作による影響が極めて大きいものと思われます。


 つか、本作の公開された78年をさかのぼること7年,
同じく宗矩を主役に据えた大河ドラマ春の坂道」が
これまた同じ役者の萬屋錦之介によって演じられており、
当方,「春の坂道」は未見ではあるものの,
原作を読んだ限りでは,こっちの白宗矩と同じ役者に
本作の黒宗矩をやらせようというのは、
それ自体がなんかのネタなのか。ネタなのか。


 ともあれ、黒宗矩が好きで好きで好きで好きで
たまらねぇ向きの方は躊躇なくご覧になるがよろしかろうッ、と
思う所存であります。


 …なんだか宗矩の話ばかりになってしまいましたので、
他のこともざっくりと。


・ 千葉真一の十兵衛デビュー
 これもハマり役です喃。いい十兵衛でした。
 隻眼の理由がオリジナル創作されててワロタ


・ 友矩が相変わらずいらない子扱いされてて
 見るものの涙を誘います。
 SAMON、SAMON、まかいにころびて…。


・ 宗冬は才能が足りてないのもいつも通り。
 「詰め甘いなあ」と思った個所の指揮をしたのが
 宗冬だったので思わず納得。
 「宗冬じゃしょうがないね」
 「宗冬じゃねえ」


・ 茜。誰だ貴様。
 でもこれがおそらくは後の世の矩香の種であると思うと,
 世の中の因果というものは恐ろしいにゃー。


・ 家光。
 後に「SAMON」でリスペクトされる松方弘樹ver.です。
 基本的にボンクラ。
 こっちの家康は一言言わなかったのかしらん?


・ 忠長。
 「シグルイ」にて徳川最暗君っぷりを披露する彼ですが,
 本作では西郷輝彦 ver.であり、愚兄賢弟を地で行くキャラ立てに。
 あと、出雲の阿国と恋仲。


・ 小笠原玄信斎。
 真・新陰流の剣士で,新陰流の継承者の名をかけて
 宗矩に挑むのだが以下無惨。
 演ずるのは丹波哲郎


・ その他,根来衆やら公卿やら浪人やら
 夏八木勲やら三船敏郎やら角川春樹やらが
 続々登場して、あまりの濃度にくらくらきます。
 後に魔界転生でもリスペクトされたりするわけですが、
 まあ、無理もないね,というところでアリマス。


余談:
 どっかで誰かが「柳生宗矩の憂鬱」とか
書いてないかしらん,とか思ったものの,
グーグル先生は斯様な存在を認知してなかったのです。
まあ、当方はハルヒ読んでないのですけど。