紹介「荒山徹」-朝鮮・柳生・妖術-
最近、このblogに切り替えてから、
未読の人のための荒山先生の紹介って書いたことなかったなー、と
今更ながら気づいたり。
そんなわけで、今までも散々書き倒してますが、
「荒山徹」という作家について、
あらためて紹介テキストを書いてみようかと。
荒山徹という作家は、世間一般においては、
「歴史伝奇作家」というカテゴリに含まれる作家でアリマス。
そして、どの作家にもあるであろう「得意分野」で挙げるならば、
「朝鮮・柳生・妖術」
この3つが荒山先生の得意分野であり、
お家芸であり、三種の神器なのでアリマス。
(厳密には更にこの後に「特撮」「宝塚」なども付くのですが)
尤も、この中にも序列が厳に存在し、第一位は仏契りで「朝鮮」です。
荒山作品は「まずは朝鮮」であり、「とにかく朝鮮」であり、
「柳生も妖術も花拳繍腿、朝鮮こそ荒山小説の真髄よ!」なのでアリマス。
はははバカよ、まさに朝鮮バカよ!
そして恐るべきことに、荒山先生は
「朝鮮に興味を持ってもらうためならなんだってするよー♪」という
或る意味、覚悟完了なお方であり、おまけに、
「流石にこれを書くのはどうかな」という「節度」というものが
概念のレベルで存在していないアンチェイン伝奇野郎なので、
その結果、書かれるものが、
・朝鮮妖術
・朝鮮柳生
・実は朝鮮人だった(or朝鮮に深い由縁があった)○○○
・無敵剣術と化す柳生新陰流
・モスラ、ガメラ、プルガサリ、金目像、獣人、タコ神様などの特撮軍団
・民明書房ばりの捏造書物の数々
・大河内民明ばりの不審人物「黄算哲教授」
・薔薇とか百合とか女装する美形とか男装する美女とか
・「この宗矩を見てくれ。これをどう思う?」「すごく…黒いです」な宗矩
・「この十兵衛を見てくれ(略」「すごく…ダメ人間です」な十兵衛
・「この友矩を(略」「すごく…アーッ!です」な友矩
・宗冬はいらない子
・尾張柳生を忘れないであげてください
・「ぼくの考えた超強い柳生(柳生強度100億パワー。十兵衛の1万倍強い)」
・そして作中で嬉々として語りだす荒山先生
など、「歴史小説ってレベルじゃねーぞ!」と言わんばかりの
ネタの嵐が吹き荒れるブツになるのでアリマス。
いやまあ伝奇なんだけど、それにしたって程があるでしょう荒山先生!と。
しかし、これだけの無茶というか、ネタが詰め込まれるだけに、
いずれの作品も、尋常ではない勢いで話が展開していきます。
そこに、荒山先生の絶妙な言い回しがかかるので、
もう、読んでて噴く回数は数え切れず、でアリマス。
(まれに静かに、淡々と進めてるなあ、と思ったら、
最後に爆弾しかけてくるなど、油断はできません)
では、それぞれどういうシロモノなのか、
既刊の作品を簡単に解説をば。
■高麗秘帖-朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ
: 秀吉の朝鮮出兵。
それに立ち向わんとする李舜臣将軍の前に襲い来る逆境の嵐!
そして彼を巡って相争う二人の忍者。
決戦の日は近づく。戦いの行方は如何に。
■魔風海峡-死闘!真田忍法団対高麗七忍衆
: 豊臣家の危機を救うため、真田幸村と十勇士は朝鮮へ旅立つ。
迎え撃つは新陰流を極めた朝鮮王子・臨海君と高麗七忍衆!
飛び交う白刃、唸る忍術、そして大暴れする大仏。
最後の勝利を掴むのはどちらか。
■魔岩伝説
: 若き日の遠山金四郎景元の前に、謎の少女・金春香が現れる。
それを追って現れる柳生の剣士、柳生卍兵衛。
春香と共に朝鮮へ渡った景元の前に襲い来る脅威の数々。
朝鮮通信使と徳川幕府の間にある驚愕の秘密とは何か。
■十兵衛両断
: 朝鮮妖術ノッカラノウムによって肉体を奪われた十兵衛。
朝鮮陰陽師に翻弄される宗矩、遂に現れた剣豪陰陽師・友景。
朝鮮新陰流を打ち立てた怨念の剣士・純厳、そして宿命の子・六丸。
柳生新陰流VS朝鮮、その戦いの結末や如何に。
■柳生薔薇剣
: 柳生十兵衛には姉がいた。名は矩香。
江戸柳生家最強の彼女に、父・宗矩が命じたのは、
鎌倉東慶寺に匿われた一人の女性を守ること。
襲い来る刺客を打ち破った果てに、矩香が下した決断とは。
■サラン 哀しみを越えて
: 「サラン、サラン…」と一人の女の声が響く。
朝鮮出兵によって運命が変わった、幾人もの名も無き朝鮮の民たち。
そんな中、若き武将三木輝景と出会った一人の娘・たあ。
彼女が辿る数奇な運命とは。
■柳生雨月抄
: 朝鮮の陰謀より日本を守れ!
大魔王・崇徳院の命により、柳生(幸徳井)友景が朝鮮の陰謀に立ち向かう。
奇怪なる朝鮮妖術師との激闘の果て、朝鮮に渡った友景の前に
一人の剣士が現れる。剣豪陰陽師・友景の活躍を刮目せよ!
■処刑御使
: 若き日の伊藤博文を暗殺せよ!
50年後の未来から時を越えて7人の未来朝鮮人がやってきた!
妖術を駆使し、俊輔(後の博文)を追い詰める未来朝鮮人たち。
俊輔は生き残ることができるか?
■忍法さだめうつし
: 「では、妖術に頼ろう」
元による日本侵攻、高麗の滅亡、李氏朝鮮の成立、
そして名君・世宗大王の御世まで、朝鮮の歴史を彩る出来事の数々。
その歴史の裏に如何なる妖術と忍術があったのか?
■柳生百合剣
: 柳生新陰流消滅!
驚天動地のこの事態に狼狽する宗矩。意を決する友矩。
柳生新陰流最大の危機に、廃人となった筈のあの男が立ち上がる!
甦れ!柳生新陰流!
■柳生大戦争
: 異国にて神となった男、その名は柳生悪十兵衛。
遥かな時を越えて、柳生と朝鮮の新たな戦いが始まる!
そして、柳生に反逆(そむ)く美剣士が一人。
入り乱れる朝鮮と柳生の因縁の果てに現れるのは何か?
以上、どれもこれも尋常一様でないシロモノばかりです。
上記の荒山先生の作品についての詳細は以下を参照ください。
あと、手前味噌ながら、この辺も参考になるかと。
そして、こんなブツを編み出す荒山先生の言説については、
これまた手前味噌で恐縮ですが、以下を見て頂ければ。
長くなりましたが、荒山先生の紹介としては以上です。
もし、ここで描かれた作品に何か感じるものがありましたら、
是非、お手に取って頂ければ重畳でアリマス。
よろしゅうですー。
なお、個人的にお勧めするならば、最も端的に魅力が出ていると思われる
「十兵衛両断」をお勧めさせて頂きます。
当方も、これを読んで荒山小説にハマりましたから。
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