「忍法さだめうつし」読了
や、今回も愉快痛快でありました。
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
本作を端的に表現するキーワード、
それは、
「では、妖術に頼ろう」
でアリマス。
(以下、ネタバレ)
モンゴルが攻めてきたとあれば妖術、
朝鮮ノストラダムスが何か言えば妖術
ガメラが現れたとあれば妖術
まさに「困ったときの妖術頼み」 。
しかも今回は日朝問わずして妖術忍術頼りまくりでアリマス。
なんというか、昔の人はもう少し妖術を節約した生活を
送るべきだったのではないでしょうか、
そう、今こそエコ妖術運動を!(代わりに地球に優しい柳生を!)
しかし、それはそれとして、個人的に感心したのは、
本作は「小説NON」に掲載されていた短編4作をまとめた単行本なのですが、
ひとつにまとめてよむことによって、これらがゆるやかな連続性を持っており、
時代背景で言えば、高麗王朝の滅亡と李氏朝鮮王朝の成立、
そして、朝鮮史に名高い世宗大王の御世までの物語となる、 という点でありました。
その朝鮮における激動の時代、日本は朝鮮とどのような関係があり、
その歴史の中で人々が如何に生き、如何に死んだかを鮮やかに描いた
新たな視点の歴史小説としても十分に読めたりするので、
ここら辺の腕が、荒山先生をして歴史小説家とならしめるのかなあ、と。
(実際、元寇後の日朝関係がどうであったかなどは、
まだまだマイナーなわけですし)
しかし、そこで荒山先生の妖術力(ようじゅつ・ちから)は
容赦なく吹き荒れ、その結果、現れいずる結論は、
「日朝の歴史の裏には妖術あり!」
「忍法も忘れるなよ!」
なのでアリマス。
結果、読者は「だからなんでこうなるの」と困惑しつつも、
「だって荒山先生だから…」という納得を抱えて
満悦するのでアリマス。
なお、本作に柳生は一文字たりとも出てませんが、
それをカバーして余りあるくらいの妖術があります。
そんなこんなで、今回もオススメできるでアリマスよー。
当方も早いとこ高橋メソッドを用意しなければ、で砂。