「三百人(さんびゃく)!」


 本日は「300」を観に行ったのです。
(以下若干のネタばれアリ)


 その感想を述べるならば、


 「これなんて隆慶一郎?」


 最初はシグルイ溢れる蛮種三百が肉弾幸を遂げるような
山口貴由イズム全開の残酷無残大活劇なのかなあと思ってたのですが、
さにあらず。
これがもう、溢れ出す位のいくさ人思想全開のシロモノだったのです。


 どの辺がと言われると、もう指摘するのも面倒なくらいに
全部なのですが、特にそのまんまのシーンを上げると、
(細かな台詞なんかは記憶で書いてるんで御容赦をば)


  スパルタ300人にアテナイの援軍数千が合流。
 スパルタ王レオニダスに対してアテナイの指揮官曰く、


 「300人しかいないのか?
  せめて我らと同数だと思っていたのだが」
 「同数?
  …そこのお前!(とアテナイ兵士を指す)
  お前の職業はなんだ?」
 「陶芸家です」
 「お前は?」
 「パン焼き職人です」
 「なるほど。
  では、兄弟たちよ。
  お前たちは何者だ!?」


 「「「雄雄雄雄雄ォォォーーーーッッ!!」」」


 「見ての通りだ。
  "戦士"の数はこちらが上だ」


 斯様なノリで、ここでいう"戦士"を、
"いくさ人"とか"死人"とか"道々の輩"辺りにコンバートすれば、
もう気分は隆慶一郎
涙が自然に溢れ出る趣ですよ。
思い描いた理想の隆慶映画が目の前に輝いているから…!


 上映前の前情報として、
件のスパルタいくさ人300の蛮勇っぷりに加えて、
ペルシア軍の魔界軍団っぷりも喧伝されてたわけですが、
個人的にペルシア王が小早川秀秋(漫画版「影武者徳川家康」ver.)と
ダブって仕方なかったり。


 あと、これはラストのオチに絡む話なんですが、
「いくさ人は伝染する!」ってアリなのかと。
こんなところでやる気パルス理論を展開されるとは!


 とりあえず、隆慶小説、あるいは「花の慶次」が
お好きな方にはたまらないこと請け合いの傑作でアリマス。
嗚呼、既に同じ感想を持ってる人もおられるわけですが、
同じ監督で「大阪夏の陣」とかやってくれないカシラ?
真田幸村と十勇士で同じノリをやられたら、もうたまらんのですが喃。
むむむー。


追記:
 実際のスパルタ兵は重装歩兵だったそうですが、
それがどうして黒のボクサーパンツに赤マントオンリーという
益荒男な格好を晒したのか、という点について、


 「その方がカッコいいからだ!」


 ということなんだろうなあ、と今更ながら認識したり。
まあ、感覚ではわかってたわけですが、こうして思考として
認識できたのは今さっきだったので。


 「カッコいいんじゃ仕方ないね」
 「カッコいいんじゃなあ」


 同じ監督の他の映画(シン・シティ)とかも
ちょいと気になってきましたな。ふむー。