「処刑御使」購入&読了


 昨日は残念ながら手に入れ損ねましたが、今日は最初の一軒目で発見。
当然ながら即座にコウニウ致しました。
で、そのまま一気に読みきったですよ。


処刑御使

処刑御使


 で、感想でございますが、
当方が一番感慨に耽ったのは、


 「ああ、遂に荒山先生が時間軸そのものを蹂躙しだしたよ!」


 ということであります。
「50年後からやってきた刺客団」という時点で気づくべきでしたが、
これはもう気狂いに日本刀というか、石川キャラに重火器というか、
とにかく一番与えちゃいけない人に、一番与えちゃいけないものを与えてしまった、
という感がありま砂。


 さて、次なるポイントとしては、時間の力を得たことによって起こった
今までにないほどの「噛ませ犬力(かませいぬ・ちから)」の嵐で砂。
もう、読んでるこちらが「え?ここでこの人をジャガるの?」と唖然とするくらい、
それはもう痛快にキャラがジャガられていきます。


 いくらフォローがあるからといって、というか、
「フォローしてるからいいよね?好きにやっても」という
荒山先生の言い訳なのか開き直りなのかよくわからぬ心の声が
聞こえてくるような心持でアリマス。
つか、そのフォローは相変わらずフォローになってないですよ先生!


 斯様なわけで、今作は吹き荒れる「噛ませ犬力」によって、
主人公たる伊藤博文こと俊輔少年は翻弄されるのでありました。
そんな俊輔少年が


 「海で溺れる者が間近にいたとしても、
  つかまる寄る辺にすらならぬ我が身は、
  波に揺れる一片の舟板のようなものか」


 とでも呟いて、伊藤カルネアデス斎とでも名乗れば
ますますSF(なにがSFなんだかわかりませんが)チックに
なるのではなかろうかなあ、とか思ったり。


 さて、以下はネタバレありで。


 とりあえず、当方が声を出して言いたいのは、


 「柳生は?俺柳生は?そして、宗矩は?」


 というトコで砂。
柳生の「や」の字も、宗矩の「む」の字もナッシングであります。
ああ、「エリ・エリ・ラマ・サバクタニ!(我が神、我が神、何故我を見捨てたもう)」


 まあ、まっとうに考えれば、雨月抄で
友景が強過ぎたのが一因だったのかしらん、とか思ったり。
故に、噛ませ犬力の吹き荒れる本作において、柳生は封印されたのかなあ、と。


 そういう訳で、前回の当方の予想、というか願望はほぼ外れであり、
実際の本作は「朝鮮妖術師VS朝鮮妖術師」という
何気に今までありそうでなかった展開を見せているわけですが、
このうち特筆に価するのは「合体妖術」の存在でアリマス。


 さて、少し話が逸れますが、その昔、「ダイの大冒険」において、
メドローア」という術がありました。
炎の力と氷の力、二つを合わせることで、更なる力を発揮する
強力な合体魔法でありました。


 そして、「魔風海峡」において「大武仏」という朝鮮忍法がありました。
大雑把に言えば、忍法ビッグゴールド(OVA版)です。
そして、「竹葉軍」という朝鮮忍法もありました。
こちらは忍法ドーンオブザデッドです。
この二つを合わせることで生まれるのは果たして何か、というと、
それはもう酷いとしか言いようがないわけで、
とりあえずビジュアルイメージとしては天上界の画としか言いようがありません。
複数の意味で。


 あと、今回も予想通り、荒山先生は
偉大なる先人を痛快にファックなさっておられます。
しかも複数人。


 「前よりいいだろ?台詞もあるし」


 という声が聞こえるようですが、そういう問題ではないですよ先生!
相変わらずフォローになってないというか、
フォローするつもりがないというか、
クラウザーさんだってここまではしないんじゃないでしょうか。


 最後に、朝鮮の扱いについてですが、
時代が時代なだけに、或る意味、今迄で一番キツいんじゃなかろうかと。
とりあえず、


朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)

朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)


 これをまんま引用してるのはキツ過ぎます。
だからそのフォローになってないフォローは
どう考えても傷口に指を突っ込んでるだけなんですってば先生!


 ともあれ、本作において、荒山先生はひとつの力(柳生)を失ったものの、
新たなる力(時間)を手に入れた、という意味において、
ターニングポイントと言えるんじゃないかなあ、と思ったですよ。
なんせ、本作のタイトルたる禁断の朝鮮妖術「処刑御使」は、


>「歴史的な転換点において必ず使われた」


 なんて書いてあるわけですよ?
つまり、「荒山先生は殺る気満々」ということじゃないですか!


 「見て宗矩…。今、荒山小説が燃えていくわ…。
  でもね宗矩、たった今、新しい荒山小説が完成したのよ!
  その名も、荒山小説G!」


 というとこでシメておきますかのう。
さて、また高橋メソッドも作るとしましょうかね。